2009年07月11日

ノーソン

大分県にある住民出資による村のコンビニ。
その名も「ノーソン」。
ローソンじゃないですよ、農村のノーソン。
先日取材のお手伝いさせて頂いたBE-PALの鹿熊さんから噂を聞いていたその店が、日経新聞で紹介されていました。

ノーソン
日本経済新聞2009.6.28「農村コンビニ、生活守る」

ノーソンがあるのは大分県中津市(旧・耶馬渓町)の山あいにある津民という集落。
旧・耶馬渓町は、4年前に周辺3町村とともに中津市へ編入。それまで過疎化が進み、線路も廃線。役場もなくなり、そして農協までが撤退。中津市街の大型スーパーまで20km、歩いていける店がなくなった、、、。
2005年、元・町職員の中島信男さんは、撤退し売りに出された農協売店を240万円で買い取り、NPO法人・耶馬渓ノーソンくらぶを設立。周辺住民80名を会員に「自分たちに必要なものを仕入れ、売る店、ノーソン」を始めたとのこと。
(参考=日本農業新聞e農NET←農協系の新聞です、、、)

はい、ここまで書いたらお気づきでしょうが、なんでもやさん(宮城県丸森町)、広島県安芸高田市川根地区の万屋さん、それに以前にこのブログでも紹介した「農協撤退で全国に『共同売店』」と、ほぼ同じケース。
ちなみに、沖縄・名護市の共同売店、羽地中部共同売店も農協撤退後に周辺住民が再出資してできた共同売店です。

「本当に困ったら、やっぱりみんなこれに行きつくんだね〜」
と鹿熊さんも言っていましたが、まさにそうですね〜。

ノーソン

写真は、先日尋ねた国頭村の桃原共同店。レジにこう書かれていました。

「売店よりお知らせ ※薬の販売について
本年度より薬剤師なしの販売が禁止になり、新たに仕入れが出来なくなりましたので、ご理解の程、宜しくお願い致します。尚、在庫の販売は可能となってます。」


薬事法の改正に伴って保健所(名護市・北部福祉保健所)から新たに販売業許可を取るよう求められたそうなんですが、その際、「手数料3万円」と言われ、「ほとんど儲けもないのに3万円もかけられない」と、薬を売るのを止めてしまうことにしたそう。
ちょっと納得いかない部分もありますが、、、全国でこういう事態になっているとしたら恐ろしいですね。とにかく、桃原集落に住むお年寄りが薬を手に入れるためには、さらに遠くまで行かなければならなくなるということです。

これらの店は単なる商店ではないです。
生活に不可欠な社会インフラであり、ライフラインであり、セーフティネットでもあります。
日常生活だけでなく、災害時にはさらにその重要性がはっきりすると思います。しかも補助金や交付金や税金に頼らない、いや頼れないからこそ生まれた、自立した存在です。

今後、農村だけでなく都市部においても、歩いていける店(徒歩圏で生鮮食料品、医薬品など最低限の生活必需品を手に入れられる場所)はますます必要になってきます。
特に高齢者、子ども、障害者などの交通弱者には死活問題です。

「村のコンビニ」と聞くと、なんだかほのぼのホンワカのんびりしたイメージで、「田舎ではみんな助け合って生きてていいな〜」なんてテレビドラマみたいな想像をしてしまいがちですが、とんでもない。
この村で生きるのか、村を捨てるか。
生活と村の存亡をかけた苦闘の毎日なんです。



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