2010年06月06日

お便り紹介

 ファンクラブを作ってから、これまでいろいろな方から連絡を頂きました。
 今回は、ぜひご紹介したいメールがあるので許可を得た上で、長文になりますが私とのやりとりを紹介したいと思います。特に後半の部分は、まさにその通り、という感じで、私がうまく言えなかったことを的確に報告、分析されていて脱帽です。
 (実名など個人情報につながる部分は伏せています。地名等の誤りなどは気がつく限り訂正しています)

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 こんにちは、岐阜の黒川と申します。

 偶然でしたが今年の1月に羽地中部協同売店にたちよったことがきっかけでマキシ様のブログと出会い、共同売店をもっと知りたいとの思いに駆られて、4月25日~27日にやんばるの共同売店を回ってきました。その際はブログの記事や電話帳、パンフレットなどを参考にさせていただきました。事後で申し訳ありませんが、ありがとうございます。

 実は私の実家も協同売店のような小規模の小売業を営んでおります。私も10年ほど前までは両親とともに家業に励んでいました。
 しかし、近年の規制緩和やスーパーの進出などで収益を上げることができなくなったため余儀なく転職しております。
 そのうちには店舗を現物出資として共同店のようなお店として残すことができたらいいなとおもっています。

 今回は時間の制約もあり各店の主任さんとお話する機会は少なかったのですが、元同業ということもあり親切に色々なお話をしていただきました。経営の形態や物流は違えどもゆいまーるの精神は共通なんだと感じました。

 機会があれば再度沖縄を訪ねたり、宮城県の売店も是非訪問してみたいと思っています。

 目指せ!世界遺産!に同感!です。(←マキシ註:共同売店ブログのサブタイトルです)

 長文失礼しました。

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黒川さん

 お返事遅くなりすみません!
 共同売店ファンクラブの眞喜志です。嬉しいメールありがとうございました。
 私のブログがお役に立ててよかったです。黒川さんのような方にぜひ読んでもらいたいという思いで、これまで地味に更新してきたようなものです。

> 目指せ!世界遺産!に同感!です。

 もう涙が出そうなくらい嬉しいです(笑)
 よかったら頂いたメールをブログで紹介していいですか?お名前や個人情報につながりそうな部分は伏せますので。
 やんばるの売店とはどちらへ行かれましたか?
 ご実家も商店を営んでおられるということで大変だと思いますが、

> そのうちには店舗を現物出資として共同店のようなお店として残すことができたらいいなとおもっています。

 と黒川さんがおっしゃっているのは、まさに共同売店発祥の「奥共同店」と同じだという気がします。
 「商店」は単なる個人の商売ではなく、「まち」や「むら」になくてはならない機能です。ちょっとかっこよくいえば、電気やガスと同じ「社会インフラ」「生活インフラ」です。このことを、ぜひ地域の方にも気づいてもらうことだと思います。
 私は外部から共同売店を応援している勝手連のような者で、ご商売の苦労を実際に知っている訳ではありません。黒川さんが沖縄で気がついたこと、感じられたことなどをぜひ聞かせていただきたいと思います。
 また沖縄にいらっしゃる際は、ぜひご一報下さい。ご参考までに、昨年「都市問題」という雑誌に寄稿した文章を添付しておきます。何か共同売店に関するご質問やほしい資料などありましたら、お気軽にご連絡下さい。

 これからも一緒に共同売店を応援していきましょう!
 私も黒川さんを応援しています。
 それでは。


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眞喜志 様

 わざわざ返信いただいたうえ「都市問題」に寄稿されたファイルまでお送りいただきありがとうございます。先日お送りしたメールは拙文でお恥ずかしいですが、そのままブログに掲載していただいて結構です。
 実は黒川という名前は私が生まれた山間の僻村にある地名でHNのようなものです。以下、眞喜志様のリーフレットを参考におじゃました共同売店です。メモがない共同店は訪問したときに営業時間外だったり所在の確認のみで通過したところです。

【恩納村】
・恩納共同組合売店 (夕方の繁忙時で来店者の多さ、規模の大きさや品揃え、道路をまたいで設置されている駐車場など驚きました)
・仲泊共同店? (主任さんの女性が「集落で運営しているが経営は楽じゃない」と)
・前兼久共同売店 (通過)

【今帰仁村】
・呉我山共同売店 (運営管理者の仲松さんに大変お世話になりました)
・謝名売店 (1月に訪問)

【名護市】
・饒平名共同売店
・呉我共同店   
・久富共同売店
・羽地中部協同売店 (なぜここだけ共同でなく協同なのか聞きそびれました)
・瀬嵩共同売店
・運天原共同売店 (看板に釣具もあると書かれていた)

 このほか、大宜味、東、国頭の共同店も見学させていただきました。また、共同売店だけでなく、地域の個人商店と思われる売店も何件か訪ねました。
 もちろん、奥共同店、楚洲共同店にもお世話になりましたが、記憶を整理して後日メールさせていただきたいとおもいます。

 >「商店」は単なる個人の商売ではなく、「まち」や「むら」になくてはならない機能です。
 >ちょっとかっこよくいえば、電気やガスと同じ「社会インフラ」「生活インフラ」です。

 とても嬉しくて励みになる言葉です。ありがとうございます。

 流通が小規模な事業として成り立ちにくくなって何年か経過しました。
 安易に”時流”を理由として家業から離れ、逃げ出した後ろめたさを感じながら生活していましたが、共同売店を知ることで将来への展望が開けてきたような気がしています。

 今後ともよろしくお願いします。


(続けて第3信)


眞喜志 様

 時間がかかりましたが前回の続きをお送りします。( )書きがない共同店は所在の確認のみで素通りしてしまったところです。わずかですが写真も撮影してきましたので添付します。(共同店でない店舗もありますが)ブログへUPしていただいてもかまいません。

【東村】
・平良共同売店ウデナハ支店 (自販機あり、豪雨で立ち寄れず)
・慶佐次共同売店? (ヒルギ林と橋が気になり、道の駅と誤認して通過)
・宮城共同店 (入り口が二つ、棚配置も変則的なレイアウト、開放的な事務所?とキッチン、養豚とキッチンの匂い、全体に古びた昭和40~50 年代を想わせるが、店の女性は「昔からこんな感じでやっている」とのこと。とても共同店らしさを感じた)
・魚泊支店 (公民館?に併設、仕入れは旅問屋? 店の女性は「共同店だから商圏は狭い、経営も大変だが、脚が弱った人のためにも頑張っている」 売掛金の弁済管理も行っている)
・川田区売店
・高江協同組合

【大宜味村】
・大兼久共同売店

【国頭村】
・奥共同店 (恩納売店に次ぐ規模? 掛け売り有り、接客、品揃えや商品管理はとても高水準、特産品もアピールし土産物やレジャー用品も有り、ガソリンスタンド併設、石碑、仕入れは専門業者?不足分は買いに出るとのこと)
・楚洲共同店 (すばらしい看板、アイテム数少なめ、雨天のため展望台には上がれず)
・安波共同店 (通過)
・宇嘉共同スーパー (比較的大きな店舗、格子窓が印象的、自販機の台数が多い)
・辺野喜共同店 
・佐手スーパー (自販機は設置されていたが沖縄ピーシー株式会社の事務所になっている模様)
・与那共同店 (通過)
・宇良共同店 (通過、塀がある建物)
・桃原共同店 (スーパーマーケット看板、レジャー用品、近くの集落には閉店した鮮魚店もあり、集落内からロードサイドに移転?男性)
・鏡地共同店 (営業時間3分割、商品回転率は高そう、ファミリーマートと競合)
・浜共同店  (通過、営業されていない)

お便り紹介 お便り紹介 お便り紹介 お便り紹介 お便り紹介 お便り紹介 お便り紹介 お便り紹介
 浜共同店(国頭村)、 ふるげんおかず店(読谷村)、 桃原共同店(国頭村)、 松田商店(宜野座村仲尾次)、 佐手スーパー(国頭村)、 鏡地共同店(国頭村)、 奥共同店(国頭村)、 宇嘉共同スーパー(国頭村)


以下は気づいたことを思いつくまま、疑問に感じたことや岐阜と異なっている点を記しました。

・酒、たばこ、塩等の旧専売品用の看板がほとんど見あたらなかったが、市販薬も販売している。
・製茶や酒造まで行ってきた。
・立ち寄ったのはロードサイドの好立地の店舗が多かったが、土産物らしい商品を扱っているのはごくわずか。
・好適な立地条件はコンビニ等と一致せず、事業継続や発展の関係性は低い。
・主任さんたちはコンビニよりも大型店の進出に敏感。
・営業時間を朝、昼、夕と3分割してある店舗もあった。
・家業のこと、自店の共同売店化の思いのこと等を話せた店では励ましの言葉をいただいた。
・アイテム数は少ないが個人商店とは比較にならないほど高水準な商品管理ができている。
・来店客との会話は、親密な挨拶やセールストーク以上の「絆」を感じた。まさに運命共同体。
・どの店のスタッフもとても丁寧で親切。
・中高齢者のユンタク?の場面も見受けられた。
・現在は貸付などの金融的な業務までこなせる財政力はないとのこと。
・新聞が戸別配達されない地域とのことで、共同売店が新聞の取り扱いをすることで高齢者の安否確認や集客などに大きく寄与している。
・日配品の廃棄は共通の悩み。
・調理場の設備が充実している店舗が多く、ほとんどの弁当や総菜は内製。
・請負で経営している方も相互扶助や共同体へ参加と貢献などの意識が明確で公共性の高い共同売店の事業に誇りを持っている。
・地元の利用客のマナーがとても良い!
・ほとんどの店は品揃えや消費期限に苦心しているが、期限切れの商品が店頭にあることはなかった。
・店舗内外にユンタクスペースがあるが、酒癖の悪い客などどう扱っているのだろうか?
・共同売店の事業は店舗運営だけではないとのことだが、店舗しかみてこれなかったので再訪したい。
・本土資本の大規模複合型店舗とコンビニの進出の影響を大きく受けている。
・名護の商店街は一部のアーケードを撤去、公設市場も寂れていた。
・市街地の中心でも丸大やサンエーに集約されており、流通業の厳しさを感じた。

 一時ですが、フランチャイズチェーンに加盟してコンビニを経営していたことがあります。コンビニは大店法や規制緩和などを背景にフランチャイズシステムとして独自の成長をしてきました。しかし、きわめて不平等な契約で(諸外国には規制法があるほど)利益分配を巡って裁判に発展しているケースもあります。(沖縄HOT スパー)(←マキシ註:伏せようかなと思ったのですが、事実のようなのでそのままにします)

 大型店の進出に危機感を抱く地元の商店は仕方なくコンビニに加盟しますが、加盟店は利益があったとしてもほんのわずかで赤字に陥ることがほとんどです。”共存共栄”や”運命共同体”を標榜している本部は不振店を救済するどころか契約を盾に加盟店から資金を吸い上げ続けます。
 そして、地域に根ざした商店を廃業に追い込んだ後、自身も損益分岐点の高さなどから廃業することが多く結果的に地域住民の利便性が低下します。また、近代的な経営手法といわれる中身は、立地を無視した運営のマニュアル化、経営は近視眼的で効率が最優先され、共同店で行われている掛け売りなどの「融通」などは利きません。

 一定の資産と収入があって健康に恵まれている人は大型店やコンビニだけでもいいのかもしれませんが、そんな恵まれた人はごくわずかです。
 私の地元では、農業従事者や地場産業に関わる個人事業者、中小零細企業に勤めていて引退した方、障害を負った方などは大変な思いで日々の生活を送っています。残念なことに生活が楽でなく「融通」が必要な方のほうが、わずかな価格の差や品揃え、見た目に惑わされがちで、地域に根ざした生活から離れて孤立化していく傾向があります。
 格差や貧困という言葉が頻繁に登場する現在だからこそ、共同店の志を学び受け継ぐことが大切だと痛感しました。
 今後はそのことをどうやって地元の方に理解してもらうかが大きな課題ですね。まずは家族からですけど。
 勉強しながら気長にやっていこうと思います。

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メールの引用はここまでです。

沖縄県外の方で、商店の経営の経験があり、しかもコンビニチェーンもしていた人の視点から共同売店を見た、とても貴重な報告と分析だと思いました。商品管理や流通のことなど、私が今まで全く気がつかなかったこともたくさんあって、さすがとしかいいようがないです。私の売店訪問記よりよっぽど深いです(笑 ←って笑ってちゃいけないな)

「そして、地域に根ざした商店を廃業に追い込んだ後、自身も損益分岐点の高さなどから廃業することが多く結果的に地域住民の利便性が低下します」

ほんとにそうですね。商店を押しのけて出店してきたコンビニがあっという間に撤退して、そのあとDocomoやSoftbankなど携帯販売店になったところが、沖縄にもいったいいくつあるでしょうか。残されたお年寄りに「携帯を食べろ」とでもいうんでしょうか。車で買い物に行ける人には、この非情さが理解しにくいんですが、、、。

「一定の資産と収入があって健康に恵まれている人は大型店やコンビニだけでもいいのかもしれませんが、そんな恵まれた人はごくわずかです。 ~ 格差や貧困という言葉が頻繁に登場する現在だからこそ、共同店の志を学び受け継ぐことが大切だと痛感しました。」

こういう視点を持った方に、共同売店のことを少しでも伝えられたなら、ファンクラブを作った甲斐があったという気がします。そして、こういう人がいるんだよ、ということを、沖縄の人に、共同売店に関わっている方に知ってほしいと思います。



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Posted by mkat at 01:06│Comments(0)活動報告
 
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