てぃーだブログ › 共同売店ファンクラブ ブログ Kyodobaiten FC Blog › 共同売店訪問記 › 小ささに学ぶ。最小の売店、伊部売店

2011年12月04日

小ささに学ぶ。最小の売店、伊部売店

世界最大の共同売店といえば恩納村の「おんな売店」こと恩納共同組合売店。
自動ドア、レジ3つ、オープン冷蔵棚、3階建て。共同売店と言えば古くて小さいというイメージですが、恩納売店もれっきとした共同売店です。

さて、逆に一番小さい共同売店と言えばどこでしょう?
答えは、国頭村にある伊部売店です。

小ささに学ぶ。最小の売店、伊部売店 小ささに学ぶ。最小の売店、伊部売店 

伊部売店は元は安田協同店の「支店」でしたが、10年ほど前に組合は解散し、現在の経営者である方が買い取っているので、正確には個人売店なのですが、私は共同売店と同じように応援していきたいと思っています。

何がすごいって、その小ささ。商店としてかなり小さいです。
建物の見た目以上に、店内はこじんまりしてます。
しかし、その「身の丈にあった小ささ」「ミニマムさ」が素晴らしい。これからの時代には非常に重要になってくると思うのです。

小ささに学ぶ。最小の売店、伊部売店 小ささに学ぶ。最小の売店、伊部売店

伊部集落は、常時住んでいる家はわずか5軒ほど。
週末に帰省してきて別荘のように住んでいる方も3軒というから、合わせても10世帯に満たない集落。
国道のドライブコースからも一本はずれているので、観光客が店を利用することもほとんどありません。

店の方は普段、店番に立てないので、店の入り口には、「呼び鈴」があります。
お客さんが押すと、隣の家からお店の方が出てくるわけです。
店内は、煙草屋さんのような「カウンター式」で、柵の向こうに商品が並んでいます。
しかしほとんどのお客さんは顔見知りですから、実際には皆さん呼び鈴など押さず、自分で欲しい商品を取って、母屋の方に行き、お金を払うのだそう。

商品の仕入れも、集落の人をよく知っているからこその厳選されたもの。
だから回転がとてもよく、売れ残ったような古い、色あせたような品はほとんどありません。
ただしこれは、ごく少量の仕入れでも配達してくれる卸屋さんがいてこそ。名護の崎浜商店さん、えらい!

初めて伊部売店を見たときは、「これでいいんだ!」と目からウロコの思いがしました。
大切なことは店を続けること。
無理なく、できる範囲でやれるんだ、ということを知らされました。
新潟や東北の震災でも、道路が寸断されて集落が孤立する例が数多くありました。
災害時にも、孤立集落にこのような商店があれば、備蓄機能を果すことも期待されますよね。

小さな集落で長年共に暮らしてきた、顔の見える関係だからこそできる、この豊かさ。
この地域の絆、これこそソーシャルキャピタル(社会関係資本)という名のかけがえのない地域資源、財産です。

さてこちらは、その帰りに訪れた名護市にある天仁屋共同売店。

小ささに学ぶ。最小の売店、伊部売店 小ささに学ぶ。最小の売店、伊部売店 

こちらは3年ほど前に閉店してしまっています。
伊部売店と比較して申し訳ないのですが、、、
閉店時、最後に店に関わっていた方に伺ったんですが、「身の丈より大きすぎたために、電気代などの維持費がかかり、閉店に繋がってしまった」という言葉がありました。

小ささに学ぶ。最小の売店、伊部売店

まだ真新しい建物ですが、目の前の道の拡張工事にかかったので、まとまった補償が出て建て替えることになったそう。
確かにこうしてみると豪華というほどではないですが、凝った造りになってますよね。

天仁屋集落に、他に商店はありません。
こんなにいい建物があるのに、、、本当に勿体無いです。
ぜひ小さくてもいいから、売店が復活することを願っています。



同じカテゴリー(共同売店訪問記)の記事
伊平屋島の共同売店
伊平屋島の共同売店(2012-07-23 18:15)

GWも共同売店へ!
GWも共同売店へ!(2011-05-02 13:15)


 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。