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2012年01月21日

協同組合と共同売店 その1

 今年2012年は、国際協同組合年です。
 2008年のリーマンショック後、改めてその意義が重要視され、2009年に国連で決議されました。最近少しずつメディアで目にする機会が出てきたようですが、国内でも農協をはじめとする関係団体が全国実行委員会を作って、さまざまな事業や記念イベントを開催するようです。



 ところで共同売店って、協同組合でしょうか?
 残念ながら共同売店は、「日本の法制度上」は、協同組合ではありません。

 日本の協同組合といえば、生協や農協、漁協、森林組合、事業協同組合、商店街振興組合など、いろいろあります。分野でいえば、生活、産業、信用(金融)、保険(共済)、医療、福祉など生活の様々な面にありますが、これらは「農業協同組合法」「消費生活協同組合法」などの根拠法によってそれぞれ別々に規定されています。
 一方、共同売店は、明治後期の辺境の地で誕生し、戦後は27年も米軍統治下にあるなど独特の歴史的背景や、集落共同体と強く結びついた独特の組織を有するなど、協同組合関連の法律に則ってできた組織ではありませんし、その範疇にもありません。じゃあ現在の法制度的にはどう位置づけられるかというと、「任意の組合」にあたるそうです。任意の組合というのは、法人ではなく、民法上、個人の集合体による共同事業組織と規定されるそうです。例えば、映画の製作委員会なんかも民法上の任意組合らしい。

 それはともかく、沖縄の共同売店は、「協同組合的組織で、協同組合の一形態」とは言えるでしょうが、「協同組合」とは名乗れないわけです。これは前述したように、日本の協同組合が産業別・業種別に個別法で分けられ、監督官庁ごとに「縦割り」になっていることの弊害でもありますが、「環境」や「就労」など新しい分野や、多分野にまたがる独特な活動を行う組合を作っても、法的に協同組合として認めてもらえないことになります。

 世界の協同組合法を見ると、統一法、基本法を定めているところがほとんどで、個別法しかない国は日本、韓国、米・カリフォルニア州くらいだそうです。(追記:韓国では2012年に協同組合基本法ができたそうです)ということで日本でも統一法や基本法などの制定が求められてきました(下記参考リンク)。その第一歩として今年、国際協同組合年全国実行委員会では「協同組合憲章」の制定を内閣に求めていくようです。また最近目にするワーカーズ・コレクティブ(労働者協同組合)も、まだ正式な法的根拠がなく、法制化を求めている団体(こちら)もあります。

・参考 「協同組合基本法」の提案 堀越芳昭・山梨学院大学

 前置きが長くなりましたが、共同売店は協同組合とはいえないのか?というと、そんなことはありません。国際協同組合連盟(ICA)の定義によれば、
 「協同組合とは、共同で所有され民主的に運営される事業体によって、経済、社会、文化的なニーズや願いをかなえるために、自発的に手を結んだ人々の自治的な団体 (原文)
ということで、国際的には共同売店も立派な協同組合といえます。
 ICAの定義を持ち出すまでもなく、実は共同売店と協同組合とは歴史的にも深いつながりがあります。というよりむしろ、共同売店は日本の協同組合の原点のようなもので、国際協同組合年の今年こそ再評価すべきではないかと思っているわけです。

 ということで毎度のことですが、素人なりに調べてみたことをまとめているわけですが、長くなったので続きは次回に。



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