山田共同売店にて その2

mkat

2006年12月15日 21:36

前回の続きです)

話はちょっと戻って、山田共同売店を訪れた日の前日、
私は北川さんにできたてホヤホヤの「共同店ものがたり」を読んでいただき、
共同売店の成立や現状についておおまかに説明しました。
北川さんはこう語っていました。

「今、医療法人や社会福祉法人が、介護保険という巨大市場をねらって、
各地の高齢化・過疎化する地域にどんどん進出しようとしている。
早く市民の手による地域密着型、小規模分散型のケアシステムを作らないと、
お年寄りたちの年金は、医者や社会福祉法人に吸い尽くされてしまう。
介護保険料はつり上がり、お年寄りたちは高いカネを払っていながら、
工場の流れ作業のような質の悪い介護サービスを受けざるを得なくなる」

介護保険料に地域間格差があることすら知らなかった私は、
北川さんの話に目からウロコの思いでした。

「共同売店に、デイサービスや、子育て支援施設、学童保育などを併設すれば、
人の集まる場になるし、ここで買い物をすることもできるし、生産の場にもできる。
こうやって、地域経済自体が循環しはじめる。
民家を利用したグループホームやデイサービスが全国で広がっているが、
共同売店のような建物やしくみが残っているというのは、地域の大きな財産。
これを活用しない手はない」


(山田共同売店で売られている地元の野菜や果物と、手作りコーレーグース)

そしてこの日、山田共同売店を訪れ、
北川さんはひと目見て、
「ここならデイサービスを併設した地域密着ケアができる!」
と目を輝かせたのですが、、、、

北川さんの話を聞いていた売店の斉藤さんが、
「実は、ここをデイサービスに貸すことになっているんですよ、、、」
とポツリ。
一瞬、僕もドキッとしました。
「どこや?」すぐに聞き返す北川さん。
「医療法人やろ。やっぱりもう目つけてたんや、、、
介護市場は今や7兆円を越える巨大マーケット。
それをねらって医療法人や社会福祉法人が、外へ、各地域へ進出してきている。
奪い合いは、もうとっくに始まっている。
みんな、福祉と聞くと、心優しい人たちのやる世界と思ってるけど、ホントは戦争やで。
ぼーっとしてたらダメ。
地元の人が知恵を絞って、自分たちで地域を守らんと、食い物にされるだけ。
吸われるだけ吸い上げられて、後には何も残らない。
若者は去り、高齢者だけが残る、限界集落というやつ。
滋賀ではこうならないよう、先手を打って地域ケアの拠点を市民の手で作ってきた。
こういうしくみをきちんと作れたところと、そうでないところでは、
今後、大きな差ができてくる。かわいそうだけど、、、。
沖縄は残念ながら全国一、介護保険料が高い地域。
地域の市民の手でケアのしくみを作れば、安くて質の高いケアが可能になり、そのお金は地域で循環する。
沖縄のお年寄りたちは、限られた年金の中から高い保険料を払わされ、流れ作業の工場のような介護を受けるしかない。
しかもそのお金は、地域から都市部へと流出していく一方。
そいういう意味では、沖縄にはもう相互扶助のしくみは残っていない」

私と斉藤さんは、返す言葉もなく、ただうなずくだけでした。
前日聞かされた話が、現実に進んでいる現場が目の前にあったなんて、、、
「共同売店」というしくみがありながら、現在はまったく生かせていない現実。
この一見のんびりした村で、刻一刻と進んでいる現実。
「共同売店ファン」を自称しながら全く不勉強で、そんな現実も知らなかった自分。
共同店のもつ福祉的な機能、という話は何度も聞いたことがありましたが、
ここまで具体的な問題として考えさせられたのは、今回が初めてでした。

何だか暗い話になってしまいましたが、、、これが現実なんですね。
もちろん恩納村だけでなく、沖縄で、全国各地で起きている現実。
のんびりしてるヒマはないようです。
共同売店を利用した地域ケアのしくみを、ぜひ作らなければならないです。

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